11.参考・石の公園団地の紹介

■ 石都・岡崎、石の公園団地の紹介

 徳川家康公ゆかりの地、岡崎は花崗岩の産地としても有名で、その優良原石の「岡崎みかげ石」から、全国に知られる伝統的工芸品としての石製品の数々が作り続けられてきた。

 岡崎の石工業の歴史は古く、起源は明確でないが、今から約400年前、秀吉によって家康が関東へ国替えされ、田中吉政が城主となり東海道を城下に導き城下町を整備した時必要な石工を和泉,河内(現在の大阪)の国から移住させたのが始まりと言われている。19世紀の初めには29軒だった石屋は、市の中心部にあたる位置に「石屋町」を形成するなどして、19世紀の終わりは50軒に増え、戦前の最盛期には350軒を数える程の隆盛をきわめ、茨城県真壁町、香川県庵治町と並んで全国三大産地として発展してきた。

 戦後、高度成長期に入り機械化が進み、作業効率が従来の手仕事と比較して飛躍的に向上するとともに、道路整備の進展や自動車の急速な普及に伴い輸送力が大幅に向上し、販路が拡大していった。一方、機械化に伴う騒音、粉塵等による周辺住環境の問題が深刻化し、田園地域や山間部などの地域へ移転を余儀なくされた。このような中、昭和48年に稲熊町に県、市のそれぞれ指導により「石工団地」として、協同組合岡崎石製品工場公園団地(略称:石の公園団地)が設立された。

 事業所の規模別でみると、家内工業的な色彩が強い。又製造、生産は企業によって専門化しているが、販売面では各種製品を取り扱っている業者が多い。但し、流通面では、他産業のような産地問屋にあたるものはなく、業者間での相互に製品を融通する形態となっている。現在、岡崎地区では160業者で年生産額 約75億円で取り扱い製品は墓石65%、灯籠15%、建築資材等12%、彫刻物8%となっている。

 近年では、住宅の洋風化や庭の車庫化が進んでいるなど、住宅事情の変化を反映し灯籠、彫刻物のウエイトが低下傾向にある。石製品が販売されるエリアとしては、墓石は県内のほか、岐阜、静岡、三重など東海地方、灯籠は全国一円へ、彫刻物は県内が多いが、狛犬などは遠方へも販売されている。

 毎年秋に開催される「岡崎ストーンフェア」では、全国の石材業者、一般消費者向けに岡崎産地をあげて情報を発信し、岡崎産地の存在や石製品のPRを通じて需要を喚起する諸施策が講じられている。

 又、伝統に培われた技術の伝承として、昭和54年8月に通産省より「伝統的工芸品」の指定(第12次)を受けており、次の時代担う新後継者の育成を通じて“石都・岡崎”の地位を不動のものにしている。

(参照資料)
石と共に生きる(岡崎石製品協同組合連合会編)、あいちの地場産業(岡崎信用金庫編)